『戦争と平和』トルストイの思想に学ぶ、 ポストコロナを見通す3つのヒント
もしトルストイが生きていたら、コロナ禍に何を思うか Photo: UniversalImagesGroup / Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大により、国際社会の状況は大きく変わった。もし知の巨人たちが生きていたら、今の状況に何を思うのだろうか――。ビジネスエリートが激動の時代を生き抜くヒントを世界情勢、宗教、哲学などに学ぶ月1回の特別講義シリーズ。第2回は、『戦争と平和』の著者として知られるレフ・トルストイの思想から、混乱の時代を生き抜くためのヒントを考察する。(神戸情報大学院大学教授/国際教養作家・ファシリテーター 山中俊之)

ロシアの文豪トルストイは
コロナ禍の現代に何を思うか

「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」

 ロシアの文豪レフ・トルストイ作『アンナ・カレーニナ』の冒頭に出てくる有名な文章である。

 トルストイが現在に生きていたら、コロナ禍で苦しむ人々に対して、どのような言葉を発しただろうか。

 それぞれ不幸であった家庭がさらに追い詰められていく様子に対して、博愛主義の立場から全世界に対して重要なメッセージを出したのではないだろうか。

 第2次世界大戦以来最大級の混乱、スペイン風邪以来100年ぶりの感染症の拡大……。半年余り前には想像すらできなかった事態が現実に起きている。

 時として映画の中を生きているとすら思えてくる現在の我々の状況である。このような時を生き抜くには、古典の叡智が欠かせない。

 そのような視点から、「激動の時代を生き抜くための国際教養」の第2回は、「トルストイがポストコロナの時代に生きていたら我々にどんなメッセージを伝えるか」を取り上げたい。

 トルストイは、シェークスピアやドストエフスキーと並んで、日本において、もっとも知名度がある海外の作家の一人といえるだろう。

 冒頭でご紹介した『アンナ・カレーニナ』や『復活』『戦争と平和』といった作品は、少なくとも作品名は誰でも知っている。

 しかし、その人生や思想は意外と知られていないのではないか。

 そこでまずは、トルストイの人生について簡単に振り返り、コロナ禍への示唆という視点から、その人生での経験が文豪のいかなる思想につながっていくのかを見てみたい。