愛知県の海水浴場は
汚れた水が入れ替わらない

 愛知県が汚い海水浴場のワースト10をほぼ独占する格好となった。なぜ水質がここまで悪くなってしまったのか。

 海の汚れは陸上から流れてくる。愛知県は人口が全国で4位だ。自動車産業の中心地で、有力なメーカーが多い。人が住み生産活動を行えば生活排水や工場排水が発生するため、汚れた水が海流で入れ替わらなければ、蓄積してしまうのである。

 6位となった三重県鈴鹿市の千代崎(CODは3.700mg/リットル)にも当てはまるが、今回のランキングで上位に入った海水浴場の多くは、三河湾や伊勢湾の奥まった場所に位置している。この地域の海水浴場は以前からCODが高止まりする傾向があった。閉鎖的な海域にあることの地理的影響は大きかった。

 なお、ワースト10の中に湖沼の水浴場が2カ所入っている。2位となった青森県三沢市の小川原湖(4.500mg/リットル)と、7位となった青森県東北町の小川原湖公園(3.667mg/リットル)である。どちらも小川原湖の奥まった場所にあるが地図を見ると離れており、2位(三沢市)が東岸、7位(東北町)が西岸となっている。

 小川原湖は全国の湖で11番目に面積が広い。海水と淡水が入り混じる汽水湖で、最大水深は25m。一方、湖ながら前回の「水がきれいな海水浴場ランキング」で6位だった田沢湖(秋田県仙北市、CODは0.600mg/リットル)の最大水深は423mもあった。

CODが高い海水浴場の水は
有機物による汚濁が大

 環境省の例年の水質格付けは、COD、ふん便性大腸菌群数(個/100ml)、透明度(m)、油膜の有無という四つの判定基準で行われている。

 四つのうち一つでもAの基準をクリアできなければ、その海水浴場は、他の判定基準がどれだけ良くてもB以下に落とされる。仮にCODが同じ値でも、AとBでは水質が異なるわけだ。今回ダイヤモンド編集部が独自に実施した水質格付けも、原則これに倣った。

 この格付けをベースにした今回の「水が汚い海水浴場ランキング」は、まずBと格付けされた海水浴場149カ所をCODの高い順にランキングし、その後にAと格付けされた184カ所をCODの高い順にランキングした。

 CODについて少し説明しておこう。CODは、水に含まれる有機物を酸化剤で酸化するときに、消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したものである。

 CODが高いほど、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになる。

 17~19年の3年分のデータがある全国783カ所の海水浴場のうち、油膜が確認された場所は一つもなかった。そこで次回は、残る二つの基準であるふん便性大腸菌群数と透明度を使って、今回とは異なる視点から、水が汚い海水浴場を確認する。今回のランキングと併せて参考にしてほしい。

 最後に、今年は全国で4割の海水浴場が開設中止となっている(7月16日時点、海上保安庁調べ)。砂浜への出入りは可能だが、遊泳区域を示すブイはなくライフセーバーもいないので、泳ぐのは非常に危険だ。この夏、海水浴には、必ず海水浴場が開設されているかどうかを確かめてから出掛けてほしい。

 また、開設している場合でも、新型コロナウイルスの感染防止の観点から“3密”を防ぐため、更衣室や売店などを設けないケースが多い。例年以上にしっかりとした準備が必要になるので、この点にもぜひ留意してほしい。

(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)