「ふん便性大腸菌群数」で
うんこによる水質汚染を把握
前回は「水が汚い海水浴場ランキング2020」をお届けした。2017~19年に環境省が全国で集計したデータを基に、ダイヤモンド編集部が783カ所の海水浴場に対して、独自に水質の格付け(作成方法の詳細は、ランキングの最後に付けた注を参照)を実施。この格付けが「B」「A」と低かった333カ所を対象に、水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD、mg/リットル)が高い順にランキングした。
今回は、「ふん便性大腸菌群数」(個/100ml)、「透明度」(m)という二つの水質判定基準を使って、水が汚い海水浴場を洗い出してみたい。
まずは1番目の判定基準である「ふん便性大腸菌群数」について、詳しく説明する。
大腸菌は、ヒトや動物のふん便(=うんこ)由来のもの以外に、土壌や植物などから来るものもある。より的確にふん便汚染を把握することができるのが、ふん便性大腸菌群数の調査になる。
環境省の水質格付けで、最高位の「AA」を獲得するには、複数回測定した平均値で100ml当たり2個未満のハードルをクリアしなければならない。同様に「A」は100個以下、「B」は400個以下、「C」は1000個以下、「不適」は1000個超となっている。
なお、同省はAAとAを「適」、BとCを「可」と位置付けている。
ダイヤモンド編集部による、「ふん便性大腸菌」が多い海水浴場ランキングは、以下の通りに作成した。なお、ランキングには一部、川や湖沼の水浴場も含まれている。長野県や奈良県といった海のない自治体に住む方もぜひチェックしてみてほしい。
大腸菌1位は常滑市の大野
愛知県は4カ所がワースト10入り
水質格付けが「A」と「B」の海水浴場のうち、17~19年のふん便性大腸菌群数(個/100ml)の平均値が20個以上の海水浴場をランキングの対象として選んだところ、50カ所が該当した。順位は大腸菌群数が多い順だが、個数が同じで水質の格付けが異なる場合は、格付けが低い海水浴場を上位とした。
1位は愛知県常滑市の大野。『方丈記』の作者、鴨長明が海水浴場としてたたえた由緒あるビーチだ。江戸末期に刊行された地誌『尾張名所図会』にも、大野は万病に効く潮湯治場として描かれている。歴史的に人々に親しまれてきた海水浴場だが、ふん便性大腸菌群数は239.0個/100mlとなり、全国で最悪だった。