(2)カッコつけないで、ありのままに会話する

 もう1つ紹介したいのは、Twitterで社員を募集したときの話だ。2008年の春、Twitterに「アプレッソで一緒に開発してくれるエンジニアを募集します」とツイートした。当時ほとんど目にすることがなかったTwitterによる社員募集を行ったのだ。

 1か月くらいで約30人の応募があり、5人ほどの社員が入社したのだが、この経験は私の採用に関する考え方を大きく変えてくれた。面接の場が、まるで友達同士の飲み会のような様相だったからだ。

「昨夜飲みすぎたって書いてましたけど平気ですか?」
「なんか牛丼が相当好きなんですね」
「Twitterで書いてましたけど、あの技術に注目したのってなんでですか?」
「風邪治りましたか?」

 こんな会話が飛び交う。

 従来の面接では、応募者からは志望動機と職務経歴が説明され、企業側からは事業内容や会社の雰囲気、勤務形態について説明するスタイルが一般的だった。だが、この面接ではお互いにある程度相手のことを知っている前提で話が進むのである。

 まったくの他人同士が初めて会ってガードを上げながらコミュニケーションするのではなく、知り合いが会社に興味を持って応募してくれたような雰囲気で話が進んでいく。実際はお互いに一度も会ったことがないのに、である。

 ときどき「就職してみたら会社の雰囲気になじめないのでもう辞めたい」「採用してみたら面接で会ったときに期待したほどチームになじめなかった」という失敗談を耳にする。しかし、ネットコミュニケーションと仕事を決めることとの結びつきが強くなるにつれて、こういうことは起こりにくくなってくるのではないか。

「面接の空気」を職場の雰囲気にする

 面接は面接官が応募者を見る場であるが、同様に、応募者が会社を見る場でもある。お互いに表向きのカッコつけた会話をするのではなく、飾らないフランクな雰囲気の中で話ができれば、おそらくそれが職場の雰囲気そのものだ。

 Twitterで募集をかけたのはこの1回だけだったのだが、このときを境に私の面接は、まるで友達の会話のような中で進めていくものへと変わった。