次の覇権国家を狙う中国は、権威主義的な政治体制を民主主義に代わる「世界のモデル」だと考えている。そして、自国で発生した新型コロナウイルスへの対策をも、「中国モデル」の宣伝に利用した。しかし、次第にその裏側にある人権侵害や隠蔽体質が伝わり、世界は批判を強めている。やはりポストコロナ時代に目指すべきは中国モデルではない。今回のコロナ禍で見えてきたのは「コンパクト・デモクラシー」の可能性だ。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
コロナ後の国際社会で重要な
「コンパクト・デモクラシー」
外務省の外交専門誌『外交』のVol.62 Jul./Aug. 2020に寄稿する機会をいただいた。
「コロナで変わる国際秩序」「先鋭化する米中対立」の2つのテーマで、倉田徹・立教大学教授の『香港危機は世界の危機へ-「国家安全維持法」成立過程とそれがもたらすもの』や佐橋亮・東京大学准教授の『不信深めるアメリカの対中姿勢』など、多くの論客がさまざまな角度から寄稿している。ぜひ、ご一読いただきたい。
筆者は、『危機に台頭するコンパクト・デモクラシー』という論文を寄稿した。本稿は、その論文では書き切れなかった部分を加筆し、より多くの方に「コロナ後の国際社会」についての筆者の考えをお伝えしたい。