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過去5年間で日本の株式市場は47%上昇しているが、実際のところ日本企業の価値はどれくらい向上しているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ニッポン株式会社は「価値破壊企業」から
「価値創造企業」へと転換した

 過去5年間で日本の株式市場は47%上昇している。この上昇には日本銀行による株式の買い入れの影響や、株式市場の企業活動に対する期待値の変化も少なからずあるが、企業が生み出す付加価値そのものが向上していることにも起因している。

 東証一部上場企業のうち、金融を除く企業が1年間で生み出した付加価値であるエコノミック・プロフィットの総和は、2014年度の▲4.5兆円から2018年度には+6.8兆円となり、11.3兆円の改善が見られた。

 エコノミック・プロフィットとは、概念的には企業が1年間に生み出した付加価値の額を示しており、計算上は投下資産収益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の差に投下資産をかけることで算出される。計算式は以下の通りとなる。

●エコノミック・プロフィット={投下資産収益率 (ROIC)-加重平均資本コスト(WACC)} ×投下資産

 この値がプラスであれば付加価値を生み出している「価値創造企業」であり、逆にマイナスであれば付加価値を生み出さない「価値破壊企業」であるといえる。

 言い換えると「ニッポン株式会社」は、2014年度から2018年度の間に、価値破壊企業から価値創造企業へと転換したのである。この要因を分解すると、企業の投下資産収益率(ROIC)の向上と金利の低下による加重平均資本コスト(WACC)の低下の2つが大きく寄与している。

 個別企業単位で見ても、金融を除く東証一部上場企業2005社のうち、76%にあたる1530社は、エコノミック・プロフィットが過去5年間で上昇している。

複数の事業を営む企業の
事業ポートフォリオが改善

 ニッポン株式会社が価値創造へと転換した理由を別の角度から見てみると、改善の大半は「複数の事業を営む企業」の事業ポートフォリオが改善したことに起因していることがわかる。2014年度には単一事業を営む企業は0.2兆円のエコノミック・プロフィットを生み、複数の事業を持つ企業の価値創造事業が生み出した6.3兆円のエコノミック・プロフィットを加えると、合計で6.5兆円の価値が創造されていた。

 一方で、複数の事業を持つ企業の価値破壊事業のエコノミック・プロフィットだけを累積すると▲11兆円となっており、ニッポン株式会社全体では4.5兆円の価値破壊を行っていた。