地元で育む環境保全米で
未来につなぐ酒造り
世界農業遺産指定の大崎耕土がある宮城県大崎市は、自然環境と共生した農業が盛んな所。ここで環境保全米を育て、酒造りをするのが一ノ蔵だ。
1972年に4蔵が合併し、社長は回り持ちで務める。歴代社長が提唱し続けるのは農業を軸とする酒蔵の形で、原料米の約99%が県産米だ。それには深い理由があった。
93年に良い水を求め、新蔵を建てた。だが記録的な冷夏で米が凶作。蔵はできたが米がない危機的状況になった。しかし、有機栽培農家は平年並みの収穫量。人や環境に良いだけではなく冷害対策にもなる農法だと学んだ。
地元農家と松山町酒米研究会を発足させ、環境保全米の栽培を開始。その後、一ノ蔵農社を立ち上げ、現在17ha、54枚の田んぼを自社営農する。