暑い日が続き、連日、日本のどこかで熱中症で亡くなる人が絶えない。コロナなら3密を避け、マスク、手洗いと対策もあるが、熱中症の対策といえば、涼しい部屋から出ない、水分をこまめにとるぐらいしかないから困る。ところが、意外なものが熱中症に効くという。牛乳だ。取材すると、意外な牛乳のすごさがわかった。(サイエンスライター 川口友万)
熱中症に強い
体を作る
信州大学の能勢博特任教授によれば、牛乳を飲むことが熱中症対策になるのだという。牛乳に関する情報発信を行っている一般社団法人Jミルクの前田浩史専務理事によれば、その研究が発表されたのはおよそ10年前。
「スポーツ医学の専門家である能勢先生はいかにして効率的に筋肉をつけるかという研究をされていたんですね。その中でお年寄りの方の筋肉を維持するためにどうするかというテーマを扱われたんです」
筋肉が維持できれば血液の循環が良くなり、血液循環が良くなると肝機能が向上する。肝機能の向上により、血液中のアルブミン(水分を保持し、血液中で物質を運搬する成分)が増え、水分が保持されて血液量が増える。その結果、気温の変化などにも対応できるようになる。
「熱中症に対して、対症療法的に水を飲んだり体温を下げたりすることは大事なんですが、それ以前に熱中症に強い体を作らなきゃならないんだという考えがあったわけです」(前田専務理事)
筋肉量が多ければ熱中症になりにくい。ではどうすれば、年を取った人でも簡単に筋肉を増やすことができるのか?