在宅勤務が続く企業では、経営者は「社員が仕事をしていないのではないか」といら立ち、社員は「上司に正当な評価をされていない」と不安を募らせていることが少なくない。しかし、この状況を解決しようとして、マネジメント過多に陥ると本末転倒な事態になる。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
在宅で社員が遊んでいる!?
在宅勤務の状況が続く中、経営者からは「社員の姿が見えない」「社員が仕事をしているのか、していないのかわからない」といういら立ちの声が聞こえる。一方社員の側からは、「苦労していることを会社はわかっているのか」「上司に正当な評価をされているだろうか」という不安が高まっている。
社員がシステム上で入力したスケジュールを、全社員が見られるように公開している企業もある。上場企業U社でもスケジュールを公開している。しかし、会議予定が入ればそのスケジュールを入力するが、一人で行う業務をスケジュール表に入力する社員はほとんどいなかった。在宅勤務が進む中、リモート会議がポツポツと予定されているが、会議自体の開催頻度も下がっており、大方の社員のスケジュールは空白だった。
あるとき、U社の社長が、全社員のスケジュールを公開したという報告を受けて、自らスケジュールを見にいった。そして、ほとんどの社員のスケジュールがスカスカであることに驚がくを覚え、社員は誰も仕事をしていない、在宅で遊んでいるのではないかと思い込み、「このままでは、うちの会社はつぶれる」とつぶやいたという。
しかし、実際のところU社の社員は、一生懸命働いている。対面で仕事ができないハンディを乗り越えようと、さまざま苦労しているのに、その努力が経営者に伝わっていないのだ。このまま放置していては、相互の信頼関係が低下することは目に見えている。