松浪 日本でも国会には、首都機能移転特別委員会が存在しましたが、いつの間にかなくなってしまった。首都機能移転に失敗して、次は道州制を掲げて道州制担当大臣までつくったけれど、これも立ち消えになっている。国会議員もわかってはいるものの、失敗し続けています。

 本書では、多くの省を丸ごと地方に移転したイギリスの例などについても書きました。さらに「重都」という考え方については、世界には防災時に加え、戦時も想定したバックアップの仕組みがあることにもふれています。

吉村 今、企業でもバックアップ対策を実際にやっています。やっていないのは政治だけ。多くの大企業が東京を離れた大阪などにバックアップ拠点を置いている。リスク分散を行なっているわけですね。万一リスクが発生したときのことを考えれば、それぞれが補い合うということが非常に重要です。

 特に日本は災害の多い国なのに、こんなにすべての機能を東京に集中させて大丈夫かと思いますね。
地震はもちろん、医療テロやバイオテロの可能性もある。首都が壊滅的打撃を受けたら、どうするのかと思います。

バックアップ国会を大阪で

松浪 本書を執筆するにあたって、世界のICT事情も調べました。世界では政治家と役人の関係も変わりつつある。たとえば日本では、政治家には直接足を運ぶべきで電話では失礼にあたる、なんていう風潮が今でもあります。国会の議員会館では、政治家が部屋の外に平気で役人を並べて長時間待たせる光景もよく見ます。

 ところが、世界ではテレビ会議が思いのほか普及している。私もすべてをテレビ会議にするべきだと思いませんが、各国でも直接面談とテレビ会議を使い分けているようです。しかも、大臣ですら必要ならばテレビ会議を使っています。

 大阪府市特別顧問の佐々木信夫先生は、通常国会を首都でやって、副首都で臨時国会を開くことを提案していらっしゃる。一度やってみれば、バックアップの実戦訓練にもなるし、本当に必要なことが見えてくるかもしれない。それこそ中央集権や東京一極集中に対する一石を投じることになるかもしれませんね。

吉村 なぜ国会機能や行政機能が東京の永田町、そして霞が関だけでしかできないのか、すごく疑問に思いますね。それこそ東京以外の大阪みたいな所でも、やろうと思ったらいくらでもできる。防災訓練じゃないけれども、国家のリスク管理として、通常国会は東京で、臨時国会は大阪でということも、やろうと思ったらできるのに、なんでやらないのか。まあ、国会議員自身が中央集権を好んでいるんじゃないですかね。