アベノミクス,安部首相辞任,安部晋三
アベノミクスの日本経済への貢献を高く評価したい Photo:AP/AFLO

アベノミクスの景気刺激効果は人々が考えているより小さかったが、幸運もあって素晴らしい結果となった。(経済評論家 塚崎公義)

安倍総理に「お疲れ様」

 安倍晋三総理が、持病の悪化により退陣することとなった。長期間にわたって日本のために身を粉にして、尽力されたことは間違いないであろうから、本稿の冒頭にあたり「お疲れ様でした。ありがとうございました」と申し上げたい。

 読者の中には安倍総理を好きな人も嫌いな人も、政策を高く評価している人もしていない人もいるであろうが、まずは筆者の素直な気持ちの表明をお許しいただきたい。

成長率が高かったわけではない

 アベノミクスというと、景気が拡大したという印象が強い。「成長戦略は今一つであったし、さまざまな問題もあったが、株価も上がり失業率も下がったのであるから、景気を拡大させたことは間違いない」といったところが、多くの人々の印象ではなかろうか。

 しかし、本稿はあえてこの点を振り返り、本当にアベノミクスは景気を拡大させたのか、仮にそうであるとすれば何がどう景気を回復させたのか、ということを考えてみたい。ちなみに昨年の消費税増税と今年の新型コロナの影響を除いて、昨年9月までを本稿の考察期間とする。

 まず指摘するのが成長率である。アベノミクス期間の平均成長率(四半期ベース、前期比)は0.3%で、年率換算で1.2%であった。これは決して高い成長率ではないし、民主党政権時代の0.4%よりも低い。

 民主党時代がリーマン・ショックのどん底からの回復期であったから高めの成長率となっていることを割り引いても、決して褒められた成長率ではない。せいぜい「民主党時代の回復を腰折れさせずに長持ちさせた」といった程度であろう。