五常の中で最も重要な「仁」の教え

「義」「礼」「智」「信」ときて、「五常」の最後が「仁」です。

私の友人は見ず知らずの人が困っているときに、疲れている身を奮い起こして助けに向かいました。

「仁」は、そうした人を思いやる心がまえに当たります。

この「仁」の徳は儒教における五常の中で最も重要とされています。

「仁」で人を思いやると、融和が保たれ、敵をつくらず、戦わずして勝つことができる。

孟子の「仁者は敵なし」という格言は、儒教の最高の「徳」である「仁」の価値観を端的にいい表した名言なのです。

まさに「仁」、つまり人を思いやる心が「生き抜く力」の根本にあることを儒教が教えてくれています。

現代に生きる仏教やキリスト教のリーダーから武士道に遡り、さらに儒教へ。古今東西ディープな「生き抜く力」の思想史を楽しんできました。

次回は、クライマックスに、西洋哲学の視点から「生き抜く力」を俯瞰(ふかん)してみましょう。

星 友啓(Tomohiro Hoshi)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書。
【著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)
https://tomohirohoshi.com/