全国の地場百貨店が、地方都市の中心市街地の“顔役“だったのは、遠い過去の話だ。地元財界の一角を占めるなど存在感を放ってきた地場百貨店は、消費の多様化の波に乗れずに存続の危機にある。特集『地方エリートの没落 地銀・地方紙・百貨店』(全13回)の#10では、コロナ禍前から続く深刻な減収ぶりをランキングによって浮き彫りにした。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟、山本興陽)
300年以上続いた山形県の大沼
老舗への地元の支持は根強いが
今年1月、山形市の老舗百貨店である大沼が自己破産し、閉店した。大沼は、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋などのような全国規模の大手百貨店になることはなかったが、県内では山形市以外にも店舗を設けるなど全盛を誇った時代もあった。しかし、それも今は昔。現在は一部従業員と商業コンサルティング会社で再建を目指しているが、難航している。
百貨店が、時代遅れの斜陽産業と指摘されて久しい。だが、大沼の破綻は特別な意味を持つ。大沼は山形市に店を構える県内唯一の百貨店であり、その閉店をもって、山形県は全国で初めて百貨店のない県になってしまった。