生存戦略#06Photo:Marco Ferrarin/gettyimages

百貨店、ショッピングモール、コンビニエンスストア――小売りもコロナ禍で甚大な打撃を受けた産業だ。その重症度は業態によりさまざま。特集『外資コンサル総力解明 7業界の生存戦略』(全12回)の#6では、小売業界のコロナショックの大きさと、ハイテク企業との競争・共存を含む未来展望を、ベイン・アンド・カンパニーがコンサル目線で大胆に解明。関係者必携の業界の打撃と展望が一目で分かる「ティアシート」(B4判)付き。(構成/ダイヤモンド編集部 岡田 悟、杉本りうこ)

景気後退期は企業の
優勝劣敗を決める

 あらゆる産業を襲った新型コロナウイルスの猛威。小売業界も例外ではなく、感染拡大期には店舗の休業を余儀なくされる企業が相次いだ。現在も客足は完全には戻っておらず、海外では業界大手が経営破綻するケースも出ている。小売企業は足元の業績を大崩れさせないことがまず課題だ。だが同時に、長期的視点で業務改革や成長投資を加速させる必要がある。企業の優勝劣敗は、景気後退期に決まるもの。難局にあって、未来への投資ができたか否かで分かれるのだ。

(1)コロナの打撃

 コロナショックの小売業への打撃の度合いは、取り扱う商材によって大きく異なった。アパレルや宝飾品、家電製品は、感染拡大を受けて消費が急減して以降、停滞が続く。他方で食料品や飲料など生活必需品はパニックによる買いだめ需要で急激に消費が増えた後、安定していくとみられる。こういった傾向は、国を問わずおおむね共通している。この結果、業態で言えば百貨店やショッピングセンターがより苦戦し、食品スーパーやコンビニエンスストアは比較的堅調だった。