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日本で数少ない「長期厳選投資」を実践しているファンドマネジャー、奥野一成氏は、株式投資でありながら、「株価指標や売り上げ、利益率などの数値は過去の実績だ」と言い切る。特集『夏だ!スキルだ!3日で絶対!習得シリーズ 2020』(全30回)の「投資思考法」(全3回)最終回の3日目は、実際に投資する「構造的に強靭な企業」を見つけるに至るまでの「仮説思考」を、具体例を交えて紹介していく。(農林中金バリューインベストメンツ常務取締役兼最高投資責任者 奥野一成、構成/ダイヤモンド編集部 塙 花梨)

8月22日(土)20時~、本記事の著者・奥野氏による「長期投資オンラインセミナー」を開催予定!ダイヤモンド・オンラインの無料会員にご登録いただいた方であれば、どなたでもご参加いただけます。
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『教養としての投資』(奥野一成著、ダイヤモンド社、2020年)より抜粋および編集して掲載

数値ばかりを気にすると、投資に失敗する!?

 これまで本特集の「投資思考法」を2回にわたってお届けしてきました。

 その1『「投資嫌い」の日本人は、労働者の殻に一生閉じこもり続けることになる』では、ビジネスパーソンが投資家思想を持つことの重要性や、多くの日本人が行っているのは「投資」ではなく「投機」であることを指摘しました。また、その2『長期投資に向く企業3つの共通点、高い付加価値・高い参入障壁・あと1つは?』では、長期投資すべき「構造的に強靭な会社」が持っている3つの共通点をお伝えしました。

 そこで今回の「その3」では、どのように投資先の企業を選ぶのか、投資した後はどうしているのかなど、実践的な話をしていきましょう。

 まず、いざ投資先を選ぼうというとき、どうしますか?例えば、東京証券取引所に上場している会社から選ぶとする場合、3702社(2020年2月末時点)もあります。ここから選ぶのは大変な作業です。

 だからこそ、インターネット証券会社のトレーディングツールにはスクリーニング機能というものがあって、あらかじめ自分で幾つかの数値基準を設定して入力すると、その条件に合う銘柄が画面上にずらっと出てきます。

 確かに便利ですし、このスクリーニングの基準となる売り上げや利益率、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの数値をチェックするのは株式投資をするときに大切です。

 こうした数値をチェックするのは良いのですが、それだけで将来も利益を稼ぎ続けてくれる会社かどうかを判断することはできません。これは誤解している人が多いので、ちゃんと理解しておいてください。

 こうした数値はあくまでも過去のことしか語りません。例えば会社の売り上げは過去1年間に積み上げてきたものです。確かに過去から現在までの状況を把握するのには役立ちますが、数値は未来を語りません。

 もう一つ、過去の株価の値動きを見て今後の値動きを予測するテクニカル分析を妄信している人がいらっしゃいますが、これは星占いと何ら変わりません。

 そう批判すると、「価格には全ての情報が入っている。業績やニュース、参加者の思惑も織り込んで株価が形成されているのだから、将来の株価も分かる」と必ず反論してくる方がいらっしゃいます。

 そんなわけはないですよね。百歩譲って、その情報は全て過去のものです。結局、未来の株価を分析することなど絶対にできないのです。そもそも過去の値動きで判断することは、株価を追っているだけに過ぎません。事業の内容も、利益の推移も、参入障壁の有無も一切考慮せずに投資先を判断していることになります。