中国の会社の基本的な構造は、日本の場合と同様に、株主会の下に取締役会に相当する董事会があり、董事会で決定された経営方針を実行する総経理、その他の高級管理職が存在する(但し、中外合弁企業に限っては、株主会ではなく、董事会が会社の最高意思決定機関となる)。

 中国においては、中国人従業員に、日常経営管理を行う総経理を担当させるケースも多いため、赴任する日本人が総経理を監督する役目も負っているのであれば、総経理より上のポジションである董事長に就任することがよいであろう。

自分のキャリアによって
ビザの種類が変わってくる

3、ビザ取得の落とし穴に注意!

 外国人が、中国現地法人で働くためには、「外国人就業許可証」を取得して、労働ビザ(Zビザ)を取得する必要がある。中国政府は、もともと中国人従業員で代替可能な一般的な職務については、中国人を優先して採用すべきで、このような職務への外国人の就業を許可しないという考え方を持っている。

 加えて、世界的な不景気の影響を受け、今後も外国人に対する就業許可やビザに対する審査は厳しくなると予想される。ちなみに、中国の公式統計では、10年以上に渡り失業率は4%前後を保っているが、実際の失業率はこれより高いと思われる。

(1)「2年以上の職務経験があること」

 就業許可を取得するに当たって、「2年以上の職務経験があること」が要求されていることは、意外と知られていない落とし穴だ。中国の大学を卒業し、又は留学後そのまま現地で就職する希望を持つ若者が増えているが、この条件が障害になることがある。

 田中さんは「入社1年」のため、就業許可を取得できない。なお、「外国人の中国における就業管理規定」においては、「職務経験」が要求されているが、「2年以上」という記載はない。上海市労働局の関連通知「『外国人の中国における就業管理規定』を徹底することについての若干意見」において「2年以上」という具体的な要件が定められている。このように、中国においては、いわゆる「法律」だけではなく、監督庁や地方政府の定める関連規定にも十分注意が必要だ。

 田中さんのように、経験年数が足りず、就業許可を取得できない場合、実務上、労働ビザ以外のビザ(例えば、Fビザ)を利用して、あくまで日本の会社に所属する従業員として、中国に出張して業務を行うことも考えられる。

 但し、この場合には、【1】滞在期間が短期間に制限され、何回も中国から出国しなければならないこと、【2】特に現地法人から給与等を得ている場合には、不法就労とみなされるリスクがあること、【3】累計の滞在期間が長期間になると、個人所得税の納税やPE課税リスクがある、等の問題に注意が必要だ。