誕生は、ランドクルーザー70系(今も昔もバン)からカジュアルテイストを与えられたワゴンモデルとして派生したところまで遡る。ナナマルワゴンと呼ばれたそのモデルは、エクステリアにナナマル的な硬派なテイストを残しながら、フロントにソフトなタッチ(それでも今見ると十分に硬派だが)を採用し、サイドやリアはそのままという仕立てに。
ハードウェア的にはラダーフレーム付ボディと前後リジッドサスを採用していたが、その多くをハイラックスサーフ(以下サーフ)と共用することでナナマルほどのタフさは控えられ、その分を日常における快適性に振っていた。
いま眺めると、カジュアルを狙うには勢いがないし、ヘビーデューティには物足りない、という中途半端さが目に付く。しかし、これはクロカンモデルをベースにしながら、カジュアルテイストをアピールして人気を博していたパジェロやビッグホーンに対抗するモデルとして、とりあえずとばかりに仕立てられた、そんな理由があってのことだった。
初代は“AT、ロング、ワイド”で人気爆発
その流れは1990年に、プラドというサブネームが与えられた初代へと引き継がれることになる。ただし、その内容は一新ではなく、ナナマルワゴンの大改良モデルというスタイル。ナナマルワゴン同様に、エクステリアはフロントセクションのみ専用で、サイド、リアはナナマルと共用で、ハードウェアも時代分だけ進化を果たしただけだった。しかし、新たにAT、ロング、ワイドという、当時のクロカン三種の神器とも言われていた要素を採用したことで、人気は爆発。
その勢いのままに、1996年にまったく新しいスタイルを与えられた2世代目へとスイッチする。プラットフォームはこれまで同様にサーフと共用するが、その乗り味からインテリアデザインまで、乗用車的な感覚をここぞとばかりに手に入れていた。
当時は三菱パジェロが絶対の地位を築いていた時代。その牙城を崩すことを目的としたかのように、デザインから装備、そして走りにおけるまで、パジェロを意識した設計が見られた。
そのパジェロとの戦いは、パジェロがマイナーチェンジでエクステリアデザインを大胆に変えたこともあって、じわじわとプラド人気がパジェロ人気を上回り、フルモデルチェンジでパジェロが北米マーケットにターゲットを変えたこと、さらにビッグホーンの国内販売終了もあり、その後、プラドが絶対的な地位を確立していく。