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現在の売上本数は前作の8分の1程度
「ドラクエX」のオンライン化は失敗だったのか?

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第34回】 2012年9月20日
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 一方、ドラクエXのようなオンラインRPGでは、パッケージの売上の他に月額プレイ料金収入がある。つまり、ドラクエXのビジネスの成否を検討する場合、収益構造を「パッケージソフト売上」と「オンライン月額定額課金」の二階建てであることを前提とする必要がある。

 ドラクエXの月額プレイ料金は1000円。毎月1人あたりの黒字が500円(これはかなり低めの予想)で半年プレイしたと想定した場合、ソフト1本分と同額の収益がでる。つまり、ユーザーは同じタイトルを2本買ったのと同額のお金を支払ったと言える。

 その想定で50万人のユーザーがずっとプレイ料金を払い続けてくれた場合、ドラクエ9と同等の利益に並ぶのは約3年半後。ただし、FF11と同様追加ディスクも発売された場合、「パッケージソフトの収益」が追加されるので、ドラクエ9レベルの利益を上げるまでにかかる時間はもう少し早いはずだ。

 もちろん、このような皮算用はユーザーが遊び続けてくれることが前提ではある。だが、この原稿を書いている時点(9月中旬)では、ゲーム発売から3日目に「一時的に増設した」20サーバを含めた合計40のサーバはどこもそれなりに賑わっているし、ビギナー用のサーバもかなり混雑している。 8月2日の発売日からプレイし始めたユーザーは、20日間の無料接続時期はとっくに過ぎているが、かなりのプレイヤーがプレイを継続しているように見受けられる。つまり、スク・エニの目論見通り「パッケージソフト売上」と「オンライン月額定額課金」の二階建て収益構造モデルは順調に機能しているということになる。

ドラクエXがあえて
「古い」月額定額課金とした理由は? 

 しかし、ドラクエXのビジネスモデル「パッケージソフト売上」と「オンライン月額定額課金」の二階建て収益構造モデルは、全く目新しくないどころか、古いビジネスモデルである。古くはFF11がリリースされた頃のオンラインゲーム黎明期に一般的だった手法であり、「ソフト販売+定額課金」から、「無料ダウンロード(DL)+アイテム課金」へとビジネスモデルが変化していったのは、ソーシャルゲームの隆盛からも分かるとおりだ。

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小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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