男性の育休やハラスメント問題…企業の変化は?

――男性の育児休業について、企業の空気感に変化はありますか。

 男性の育児休業は2018年度の取得率が6.16%と年々上昇傾向ではあるものの、数字としては高くはありません。ただ、今では「男性でも育休を取りたい人は取るべきだよね」という空気感はあります。

 積水ハウスから「イクメン白書2020」という調査結果が公表されていまして、男女ともに8割の人が男性の育休に賛成しています。積水ハウスでは、2019年2月~2020年1月の1年間で、子どもが3歳未満の男性社員415人全員が、1カ月以上の育休を取得していますし、国家公務員でも男性の育休を推奨する動きがあり、規模が大きい企業や組織を中心に変化が見られています。

 ユニセフの調査によると、実は日本の育休制度はOECD(経済協力開発機構)やEU諸国と比べたとき、所得補償のある期間が長く、進んでいる制度と評価されているんです。ですが、実際の取得率には大きなギャップがあり、海外からは不思議に思われています。大企業が男性の育休取得の推進を始めることで、下請け先や取引先も影響を受け、誰かが休むことが当たり前になる。そうなれば、働き方も変わっていくのではないかとも感じます。

――ハラスメント対策については、いかがでしょうか。

 2019年にハラスメント対策の法律が改正され、今年6月に施行されました。また昨年、ILO(国際労働機関)でハラスメント撤廃のための条約が採択されています。厚生労働省では具体的にどのようなことに注意すべきか周知を行っていたり、私自身も企業のセミナーに呼ばれたりしています。

 実際、管理職や指導的立場の人と話をすると、気をつける人が増えてきています。大学でも研究室で学生に指導をする際には、必ず研究室の扉を開けておくようにしている先生もいると聞きますね。ただ、指導とハラスメントの境界線が分からないという悩みを抱えている人は少なくなく、管理職向けの研修がもっと必要だと感じます。極端ですが、1年目の社員には、注意をしても大丈夫なタイプか見極めがつくまで何も注意をしないという人もいるんです。

――最近は就活セクハラも話題になっていますよね。

 SNSで就活生と若手社員が個別に連絡を取り合えるようになって、性暴力事件も起きており、問題は深刻化しています。一対一のやりとりなので会社側も把握できておらず、大企業向けに就活セクハラの話をしたら、人事担当者は言葉を失っていました。

 日本のハラスメント防止法の指針では、就活生は保護の対象として明文化されなかったのですが、ILOのハラスメント条約では求職者も対象に入っており、世界的には自社社員が求職者にハラスメント行為を行った場合、企業にも責任があるという流れにはなっています。

 先日、大学生向けのセミナーを開いたら、いまだに面接で女性に「結婚したら仕事はどうするつもりか」と尋ねる企業もあると聞き驚きました。社会の変化に鈍感な企業もある一方で、社内に「今のままではまずい」と気付いている人はいるものの、組織全体で徹底されていない問題を抱えている企業もあるようです。