養老孟司×羽生善治対談「AIの普及を左右する最大の鍵とは」
AIが普及する上での一番の課題とは何なのでしょうか Photo:Handout/gettyimages

AI(人工知能)の活用が急速に進んでいる。AIが普及する上で見えてくる「ブラックボックス化」の課題とは。『AIの壁 人間の知性を問いなおす』から一部抜粋して、解剖学者の養老孟司氏と棋士・羽生善治九段との対談をお届けする。

AIがない過去には戻れない

養老孟司 AIは、将棋や囲碁の世界では、結構具体的な形で成果が出始めている。そういう先行分野が世の中に対してインパクトをもたらしているという側面はあるんだと思うんです。

 最近、なぜAI技術がここまで進んできているのかというと、一つは計算処理能力が上がってきているという側面がある。その他で言うと、例えば画像処理の技術などが進んできて、ほかの分野に転用できるというところに、AIが当てはまったと。そういう要素が非常に大きいのかなと思ってね。

羽生善治 確かに様々な技術要素の進展と合わせてAIの用途が広がっていて、転用できる分野は広がっていますよね。画像処理の技術を内視鏡カメラによる消化器系のがんの診断に使うとか。AIの機械学習との組み合わせが非常に利いてくる分野ですよね。

 結局、医療でも将棋でも囲碁でも画像認識でも、人間から見るとジャンルは違うんですけど、コンピュータにとっては、限られた空間の中に存在している特徴を見いだすという点では同じなんですよ。その定義や設定を置き換えるだけで、すごいことがいろいろできると。ただ、それこそ養老先生がおっしゃっているように、自然界のようなカオスの事象とか、不確定要素がとてつもなく多いもの、ランダム性があるものなどは、とりあえず横に置いておいて、できることからやっていこう、というのが今のAIのスタンスなのかなと思っています。