サミットの「離職サイン」を見逃さない方法
施策後、離職率は3ポイント減に

 そうした中で、今年から新入社員の離職防止に力を入れ始めた同社だが、実は新型コロナの影響を受けて始めようとしたわけではなかった。

「もともと入社1年目の離職が課題になっており、『早く言ってくれればよかったのに…』というような、事前に話してくれれば解決できたかもしれない理由で辞める新入社員もいた。昨年からは、新入社員研修に副店長を参加させるなどして、メンターの役割を強化していたが、より本格的な対策が必要だと考えていた」(深瀬氏)

 新入社員教育は店舗での研修やコミュニケーションが肝になるが、人事部で支援できないかと考えて行ったのが、次の2点だ。

 1つ目が、従業員の状態や満足度やストレスチェックなどに関するアンケートを実施し、離職リスクを分析・可視化する「離職防止ツール」を利用しながら、毎月1回、新入社員の様子を知ること。

「離職防止ツールから出された質問に新入社員が解答する際、フリーコメントを入力してもらっているが、それが離職の兆候をつかむきっかけになっている。例えば、『転職を考えている』というコメントをした新入社員がおり、どうしたのかと思って店に出向いて話を聞くと、『自分の成長が遅くて不安になっている』という思いが背景にあった。『転職したい』というコメント一つとっても、その背景は話してみないと分からない。まずは兆候をつかむことが重要だ」(深瀬氏)

 2つ目が、1カ月に1回は、メールや電話も活用しながら新入社員全員と話すことだ。彼らのことを気にしているよ、という人事部の行動が安心感につながるという。

「人事担当が1人20人ずつの新入社員を担当し、お店に電話をかけて毎回3~5分程度話している。その際、店長などが電話に出れば、どんな様子か聞くこともできている。お店に直接出向くこともあるが、声を聞くことで様子もわかるので、メールなどテキストだけではないコミュニケーションも重要だ」(深瀬氏)

 実はこうした取り組みの成果なのか、すでに結果が表れている。昨年の8月末時点と比較して、同社の新入社員の離職率が3ポイントもダウンしているという。深瀬氏は、「新型コロナの影響で、転職しにくい環境があるのかもしれない」と他の要因も示唆するが、人事部の地道な努力が離職防止に結びついたとも考えられる。

 今年、過去に例がない状態で新入社員となった彼らが、一日でも早く自信を持って組織の一員となれるよう、例年以上に離職サインを見逃さないようにしたい。