売上価値と情報価値の二つから成るウェブサイト価値。とりわけ情報価値には、企業がデジタル上で優れたCX(顧客体験)を構築できているかどうかが如実に表れているようだ。特集『DXの勝者はどこだ?ウェブサイト価値ランキング2020』(全7回)の#3では、最新2020年版「情報価値ランキング」ベスト50社を紹介する。(トライベック・ブランド戦略研究所 後藤 洋、平井郷子/ライター 高橋 学/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
1位ユニクロは560億円
「情報価値」が高い企業の特徴とは?
ウェブサイト価値を構成する売上価値と情報価値のうち、売上価値に比べて情報価値が増加傾向にあることは本特集#1『ウェブサイト価値総合ランキング2020【全246社】4位トヨタ、3位ユニクロ…』ですでに述べた。
そのため、ここではデジタルメディアの活用がより重要になる中で、情報価値が高い企業にはどんな特徴があるのか、詳しく見てみよう。
情報価値とは、推定閲覧者数に基づく「閲覧価値」と会員登録やキャンペーン応募、資料請求などに基づく「行動価値」の合算値だ。
企業・ブランドのウェブサイトやSNS、アプリを通じて消費者に動機づけをし、行動に導く。デジタルメディア全般がビジネスのチャネルとして機能しているのか、その価値を金額換算して指標化したものだ。
この情報価値で560億円とトップだったのがユニクロだ。同社の売上価値は昨年と比べて減少したものの、情報価値の増加がそれを上回り、ウェブサイト価値において1.2倍の増加となっている。同社のアプリには商品バーコードをスキャンするだけで店舗の在庫などが分かる機能もあり、新型コロナウイルスの感染防止の観点からニーズが高まった非対面・非接触にも対応できていたといえる。
コロナ禍において、インバウンド客の減少など大きな影響を受けたが、エアリズムマスクや在宅勤務向けのスマートパンツの発売など、新たなニーズを取り込むとともに新しいショッピングスタイルを追求し、積極的にデジタルメディアを活用していることがユニクロの好調を支えていると考えられる。
情報価値を高めた企業は、ウィズコロナ時代のニーズを的確に捉えているだけでなく、消費者の期待を超えるサービスやコンテンツを提供している。「ウィズコロナ時代のCX(顧客体験)」を軸に、新たな消費者ニーズに対して、どのような工夫で対応すべきかを考えることが大事なポイントだ。
ユニクロ以外に情報価値の高い企業はどんな面々だったのか。次ページでは、ベスト50社を一挙に紹介する。