カタリーナ

カタリーナ 「もともと在籍出向は、人材交流や経営・技術指導、雇用調整などの目的でグループ会社間ではよく使われてきた手法よ。ちなみに、助成金の対象となる出向は、親子・グループ関係になく、資本や組織関連性からみて独立性が認められていることが要件の一つになっているわ」

武藤 「中小企業だと異業種とのネットワークも限られているからね。現実的に思い付かなかったよ。マッチングサービスが利用できるならありがたい。大事な社員を手放すより、よっぽどいい」

カタリーナ 「社員の解雇は最後の手段。使える手があればどんどん使って、悪あがきしないと」

 カタリーナは、顔と両手を左右にパタパタと動かし、おどけてみせた。

武藤 「いやー、君は面白い人だな。もうちょっと頑張ってみるか」

 ようやく武藤が笑顔になった。事業への熱い思いは、消えていないようだ。

カタリーナ 「ええ、もうひと踏ん張り!これまでの努力を無駄にしないで。諦めなければ、道はきっと開けるわ」

<カタリーナ先生のワンポイント・アドバイス>

「雇用シェア」とは?
本稿の「雇用シェア」とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に雇用過剰となった企業が雇用を守るため、人手不足などの企業との間で在籍型出向制度を活用することを言う。「産業雇用安定センター」では、無料で送出企業と受入企業間の在籍型出向マッチングを行っている。また、一定の要件を満たせば、雇用調整助成金の対象となる場合がある。

「雇用調整助成金」の対象となる出向とは?
*雇用調整を目的とする出向(経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向)が対象
*出向期間が3カ月以上(2020年12月31日までは1カ月以上)1年以内であって出向元事業所に復帰する予定であること
*出向元と出向先が親子・グループ関係にないなど、資本的、経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること
*出向元で代わりに労働者を雇い入れる、出向先で別の人を出向させたり離職させたりするなど、玉突き雇用・出向を行っていないこと
などの要件がある。

助成額について
出向元が出向労働者の賃金の一部を負担する場合に、以下のいずれか低い額に助成率(中小企業は2/3、大企業は1/2)をかけた額が助成される。なお、出向労働者には、出向前に支払っていた給与とおおむね同額を支払うことが必要。
(1)出向元の出向労働者の賃金に対する負担額
(2)出向前の通常賃金の2分の1の額
※ただし、8370円×330/365×支給対象期の日数が上限

受給するには、出向元と出向先の間で、出向期間、出向中の労働者の処遇、出向労働者の賃金額、出向元・出向先の賃金などの負担割合を取り決めて契約、また労使間で出向協定を締結し、出向予定者の同意を得ることや、計画届の提出などが必要となる。

参考出所:公益財団法人 産業雇用安定センター「雇用を守る出向支援プログラム2020」

※雇用調整助成金について、詳しくは事業所を管轄する都道府県労働局やハローワークにお問い合わせください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)