共働きが増え、女性の「社会進出」が何かと話題になる一方で、もう一つの課題は男性の「家事・育児進出」である。昔より子どもを抱いて出かける男性の姿を目にすることが多くなったとはいえ、家事・育児はまだ女性に負荷がかかる状況が続いている。アンケートからは、家事・育児について男性の自己評価が高い様子も浮かび上がってきた。(フリーライター 武藤弘樹)
現代の夫婦の理想像の一つ
“家事を分担する夫婦”
家事は夫婦で分担するもの、という考え方が広まり始めてから久しい。共働き世帯の増加に伴った価値観の変革があって、「片方(主に妻)に家事の全てを担わせようとするのはおかしい・古い」とされるようになってきた。ここで「古い」とされているのは“専業主婦”でなく、“家事をしようとしない夫”である。
夫婦のあり方は多様で、最適解もさまざま。だから、「この夫婦の形が正しい!」と一概に断ずることはできないが、現在の多数の支持を集めている「こういう夫婦であれたらいいよね」という理想像、それが“家事をちゃんと分担する夫婦”である。
家事分担への世間の関心は依然として高く、数年前から「名もなき家事」という言葉も登場して“家事”に対する認識・学習の掘り下げも改めて行われている。こうした過程を経て夫か妻一方のストレスが減り、笑顔の総数が増えるなら世の中的には大歓迎であるが、この状況は家事分担がスタンダードとして成立しきっていないことの表れでもある。家事分担が王道として認識されているならごく当たり前のこととして消化され、こうして頻繁に取り沙汰されることはないはずだからだ。つまり「家事分担をしたいけれどできていない」という葛藤を抱えた世帯が多いことがうかがえる。
そんな中、ハウスクリーニングなどの事業を展開する、みんなのマーケット株式会社が運営する「くらしのマーケット」がちょっと面白いアンケートを実施した。「『家事の貢献度』は夫婦仲にどう影響? 家事分担の理想と現実」というもので、夫婦の家事分担に関する意識調査だが、出てきた結果がいくつかの可能性を示唆していて興味深い。これを参考にしつつ、家事分担について改めて考えてみたい。