「自転車泥棒が多い区」は?
気を付けたい2つの指標

 犯罪の発生率がエリアによって違うのには、原因がある。相関関係でいうと、自転車泥棒などは失業率の高さや生活保護受給者の多さと関係が深い。海外に例えると、南北の経済格差が大きいイタリアがわかりやすい。南部では多くの若者が失業しており、時として旅行客を狙うこともある。

 私も以前ナポリを訪れたときに、駅から100メートルほどしか離れていないホテルへ行く間に、2人組の窃盗犯に狙われたことがある。背中にアイスを塗られ、もう1人が助ける振りして財布を盗むという、お決まりのパターンで取り囲まれそうになったことを思い出す。あくまで現象論ではあるが、前述のようなエリア属性の場所は、相応の犯罪リスクを抱えていると考えた方がいい。

犯罪が少ない町が必ずしも
「住みたい街」にならない不思議

 ここまで読んだ読者の中には、「犯罪の多い地域には住みたくない」と思った人も多いのではないか。では逆に、人は最も安全な町に住みたいかというと、実はそうでもないのだ。

 犯罪件数と昼夜間人口を町丁別に比較すると、最も安全な町を特定できる。実際に現地へ足を運んでみると、それらは駅から遠いマイナーな住宅街ばかりになる。人が集まってこないだけでなく、住んでいる人を狙っても金品が取れそうにないエリア、と言ったらわかってもらえるだろうか。要は、不便で貧しそうな町なのだ。

 ここから言えることは、人が集まるところに犯罪は付き物だが、リスクを冒してでも人が集まるだけの利便性がそこにはある、ということだ。メリットとデメリットは、背中合わせで共存している。不便で犯罪が少ない街を選ぶか、利便性も犯罪もある街を選ぶかの問題だ。

 その心地よさと心地悪さは人によって異なり、自分が許せる「適度な水準」を見つけることが重要になってくる。それは、人それぞれのライフスタイルや治安に対する許容度で決まってくるので、自分なりの正解を見つけるしかない。「住みたい街ランキング」のように、万人にウケがよい街など存在しないと考えた方がいい。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)