メタボ健診
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 世界に例のない先駆的な取り組み(厚生労働省)だと2008年度に始まった「特定健診・保健指導(メタボ健診)」。

 40~74歳の被保険者を対象に、腹囲と体格指数(BMI)、血圧、血糖、血清脂質などを計測し、その結果から保健師が生活習慣の改善指導を行うもの。心血管疾患発症と死亡を減らし、あわよくば医療費も削減という試みだった。ただし、06年の立法当時から効果に疑問を呈する声は多かった。

 先日報告された京都大学の疫学研究からは、「男性の対象者を1年追跡した結果、体重はわずかに(約300グラム!)減少したが、血圧など心血管疾患のリスク因子は改善しなかった」という実態が明らかにされている。

 研究者らは13年4月以降、健診後に1年以上追跡できた40~74歳の男性会社員、7万4693人について、腹囲が85cm以上と未満で2群に割り付け、その後の成果を1~4年間追跡している。

 対象者の平均年齢は52.1歳、平均腹囲86.3cmで、平均BMIは24.5、腹囲が85cm以上で介入群に割り付けられたのは、3万8894人だった。

 保健指導の内容は(1)電話連絡と面接による運動・食事指導(個人20分以上、必要に応じて3カ月間継続)、(2)高リスク者は医療機関への紹介だった。

 その結果、介入群の1年後の腹囲はマイナス0.34cm、体重がマイナス0.29kg、BMIはマイナス0.1だった。しかし、血圧など心血管疾患リスク因子の改善は認められず、体重の改善効果も3、4年後には消失している。

 一方、実際にきちんと指導を受けた人(介入群の15.9%)では、1年後の体重がマイナス1.56kg、BMIはマイナス0.61と減少したが、やはり肝心のリスク因子の改善はみられなかった。

 結局、メタボ健診からの介入では、健康に対する意識・関心がそこそこの「普通の人」に行動変容を促すには力不足なのだろう。

 メタボ健診には年間、およそ160億円が費やされている。削減、人員不足で保健所が疲弊している今、費用に合った利益がない施策は見直しが必要だ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)