敗戦後の日本再建の先頭に立った吉田茂は、対米交渉に当たって「負けっぷりの良さ」にこだわったとされる。民主、共和両党が激突した米大統領選も「Good Loser(良き敗者)」を前提に成立する。「Graceful Concession(威厳ある撤退)」という言葉もある。敗者が「負けました」と言って終わるのが米大統領選の伝統でもあるからだ。
ところが投票日から10日以上が経過しても「ゲームオーバー」にならない。民主党のジョー・バイデンが、共和党の現職大統領であるドナルド・トランプを上回る得票で勝利を確実なものにしているが、トランプは郵便投票で不正が行われたとして敗北を認めようとしない。それどころか訴訟で争う構えを見せる。
国際社会はこうしたトランプを置き去りにするかのように、「バイデン大統領」を前提に動きだした。首相の菅義偉もバイデンに対する祝意を表した。米三大ネットワークがバイデンの当選確実を報じたのは11月8日未明。これを受けて菅はツイッターを使い、日本語と英語でメッセージを発した。