台風19号の発生時には、マチマチ上でさまざまな情報が飛び交った。例えば、東京の多摩川では、投稿された写真で川の水位が上がったことを知った80代の男性が、すぐに避難をして助かった。この男性は、それまで水害に遭ったことがなかったため、情報を知らなければ自宅にとどまった状態だった。また避難所にいる人が「寒いので防寒具を持参したほうが良い」とか、育児中の母親が「避難所に子どもは連れていけるのか」という質問を投稿し、次々とコメントが返ってきたことで、家族が一緒に避難できたケースも多かった。

「防災士の資格を持つ方や消防団の方も専門家の見地から情報を発信していました。こういった地域住民が助け合う『共助』は災害時にはなくてはならないものです。マチマチの中にも防災情報の掲示板を立ち上げ、誰もがアクセスできるようにしています。4年前に始まったサービスですが、設立当初から災害時の利用を強く意識していました」(六人部生馬さん、以下同)

20年9月に東京消防庁と協定締結
デジタルの防災インフラに

 このマチマチが、今年9月に東京消防庁との協定を締結した。コロナ時代に対応したデジタルによる防災インフラを構築していくのが狙いだ。

「東京消防庁さんは、住民に防災や防犯意識を持ってもらうために、これまで広報誌やSNSなどで情報を発信していました。ところが、従来の方法では伝わりにくかったとそうです。そこで弊社のサービスを提案しましたところ、協定を結ぶ運びとなりました。防災に特化したSNSやアプリは他にもありますが、平時はなかなか使われないという弱点があります。その点、マチマチは普段からさまざまな情報が飛び交っていますので、伝達手段という点では、非常に有効だと思います」

 現在、東京消防庁はマチマチを活用して防災訓練やイベントの案内、防災情報などを発信している。

災害時に威力を発揮する「ご近所SNS」とは?台風や水害、感染症などの発生時に近隣の状況を共有できるため、大いに役立っている

「実際に使ってみると、災害時にはかなり有効だとの評価をいただいています。かつての阪神・淡路大震災でも住民の連携が強い地域は被害が少なかったという例もあり、地域の連携と防災は密接な関係があります」