私の関係する米国のベンチャーキャピタル(VC)が投資したスタートアップ企業が、近くニューヨーク市場に上場する。注目すべきは、その上場がSPAC方式で実現することだ。
SPACは“Special Purpose Acquisition Company”(特別目的買収会社)の略。特定の事業を持たず、未公開企業や事業を買収することのみを目的とした投資会社だ。SPAC方式での上場の仕組みは、まず投資会社を市場で上場させ、資金を調達。その上で有望なスタートアップ企業や事業を買収し、合併して通常は被買収企業を存続企業にする。
ここ数年、米国ではやっている上場方法で、今年は何と既に170社のSPACが上場し、調達総額は630億ドル(約6兆5000億円)に上る。通常知られた株式公開による上場(IPO)の、倍以上の規模となっている。
このスキーム自体は1980年代から存在していたが、不正の温床となったため使われなくなっていた。だがその後、SPACに2年の存続期限ができ、その間に買収できなかった場合には解散して出資者へ返金するなどの規制が強化され、ここ10年ほどの間に急速に広まった。