RCEP誕生で中国はTPP包囲網を突破、米国に対抗する「次の一手」とはPhoto:JIJI

世界最大規模の自由貿易経済圏の誕生、中国はどう見たか

 先日、「東アジア地域包括的経済連携(=RCEP)」の首脳会議が開かれ、日本や中国をはじめ15カ国がこの「RCEP」の協定に署名した。新型コロナウイルスによって世界経済が大きな打撃を受けて四苦八苦している2020年で、最も素晴らしい経済関連のニュースと言っていいと思う。

 世界の人口やGDPのおよそ3割もカバーするこの協定は、世界最大規模の自由貿易経済圏の誕生として受け止められ、大きく注目されているが、中国での評価は一味も二味も違う。

 まず、李克強首相は「RCEPの署名は多国間主義と自由貿易の勝利であり(中略)、人々に曇りの中で光明と希望を見いださせた」と評価した。「勝利」「光明」「希望」という3つの言葉は中国側の興奮と喜びを余すことなく表している。

 中国国内では、「ある意味では、他の14カ国と一緒にRCEPに署名することは、中国にとってWTOに加盟した出来事に相当する大きな事件だ」と受け止める専門家が多い。