『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

「在宅期間中に古典をじっくり学びたい」ときに有効な2つの具体策Photo: Adobe Stock

[質問]
 シェイクスピアや論語などを引用できるように、一字一句暗記してみたいと思っています。

 自宅待機期間を利用して、シェイクスピアや論語などを引用できるように、一字一句暗記してみたいと思っています。昔の多くの哲学者や宗教者、チャーチルなどは本を1冊丸々覚えたと言いますが、どのような方法で一字一句違わず暗記できるのでしょうか。概要を覚えることは出来るのですが、正確に単語や表現まで覚えることができません。

まずは書き写してみましょう

[読書猿の回答]
・筆写
 まずは書き写すことをおすすめします。コツは、本を見ながら書き写すのではなく、本を少し読んだ後、何も見ずに今読んだものを書き出してみること、そして後から原文を見て正誤を確かめ、朱字で修正することです。

 最初は、一語ずつ書き写しても、間違いだらけになるかもしれません。私達は本を読む時、一字一句正確に読んでいるわけではありません。かなり自分勝手に読み違えしています。このまま覚えようとしても単語や表現まで正確に覚えることは難しいでしょう。書写は、自分勝手に読み違えしている事実を明確にします。

・注釈
 次に、原文に注をつけていきます。注釈は、原文を自分がどう読んだか、どう理解したかを書き残すことです。理解があやふやな部分には注をつけることが難しく、理解がデタラメな箇所にはデタラメな注が残ります。できるだけ細かく注をつけましょう。

 注をつけることにより、理解が原文の細部にまで行き渡れば行き渡るほど、原文が何故このような言葉・表現を選んでいるのか、何故別の似た言葉・表現では駄目なのか等を納得できるようになります。この段階に至れば、原文を正確に覚えることを目的とせずとも、目指すものは自ずから達成されているでしょう。