昨夜1月16日、外気温は氷点下20度近くまで下がった。この時期のデトロイトとしては、ここ数年で最も寒く、カナダと国境を介するデトロイト川には氷が張った。

 5日前の1月11日(月)午前10時5分。北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)のメイン会場に隣接する「リバービューボールルーム」でトヨタ自動車の記者会見が始まった。

 まず、壇上にはいつものように、司会役で環境分野兼広報担当筆頭副社長のアーブ・ミラー氏が立った。椅子席の最前列の中央には、トヨタの北米事業全体の責任者で、米国と中国で強固な販売体制を確立したことで知られる稲葉良睨氏の姿。北米事業を稲葉氏に一任しているトヨタ本社の豊田章男社長の姿はないが、同本社で技術と商品企画を統括する内山田竹志副社長は出席していた。

1月にデトロイトで開かれた北米国際自動車モーターショーでトヨタ自動車が発表した「FT-CH」。見た目は、まさに“ミニ・プリウス”

 ミラー氏は2009年のトヨタ北米事業について、リーマンショック後の販売不調から徐々に立ち直りをみせていることを強調。フロアマットなどリコール問題については深く触れず、スピーチをTMS(トヨタ・モーター・セールス/北米トヨタ販売本部)のジム・レンツ社長にバトンタッチした。

 レンツ氏は、トヨタの北米事業全般にさらっと触れてから、「あなたがある朝、目を覚ましてみると、そこは…」というかなり強引な話の持っていき方で「2010年時点のトヨタの姿」から「未来の自動車社会のあり方」へと話題を移した。

 そして、トヨタの次世代車は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV(電気自動車)、燃料電池車、クリーンディーゼル車などが、共栄共存することが望ましいと主張した。なかでも、トヨタの次世代車の中核である(2009年までに世界市場で合計53万台の販売実績を持つ)ハイブリッド車については、強気な計画を打ち出した。近年中に世界市場での年間販売台数目標を100万台とし、2010年代前半に8車種の新型ハイブリッド車を投入するとした。

 そして、まばゆいイエロー光線を四方八方から浴びながら、本日の主役「FT-CH」がバックサイドからせり出してきた。その風貌、大方の予想通り「ミニ・プリウス」だった。