これでまた「嫌中」の日本人が増えそうだ。
日本が尖閣諸島を国有化したことに猛反発し、中国各地で9月15日、激烈な反日デモが勃発した。2005年と2010年にも反日デモが起きているが、今回はその比ではない。日系スーパー、家電メーカーの生産現場、自動車販売店までもが襲撃され、放火や略奪まで起きるなど、「反日」をはるかに超えた「大暴動」に発展した。
暴徒に打ち壊される日本車やスーパーマーケットの映像を見て、日本人は茫然としている。いったい中国でなにが起きているのか。なぜこれだけの怒りが日本にぶつけられるのだろうか。
両国間に構築されてきた
「ゲームのルール」が崩壊
もともと日中間には、こうした危機的状況を回避するための「戦略的互恵関係」という「制御装置」があったはずだった。政治的な摩擦が起きても、互いに利益を重んじ、経済面に波及しないようにするための取り決めである。それは、政治体制や価値観の違いがあることを認めたうえで、安定した関係を維持するための、いわば「ゲームのルール」だった。