即効薬がない危機
だからこそ広く長期的な取り組みを

 図書館ヘビーユーザーの一部からは、緊急事態宣言のさなか、「図書館が閉まっていて不便」というボヤきが聞かれた。公共図書館が閉館した目的は、感染拡大を抑制することであった。まさに公共のための判断である。しかし、夏の暑さや冬の寒さを避けて生き延びるために図書館を利用している人々にとっては、そういう「居場所」が減ったり利用できなくなったりすることは、文字通りの死活問題となり得る。「新型コロナ」という災害は、誰をも等しく襲っているはずだが、個々人への影響は等しくない。

「コロナ禍では、日本でも海外でも、最も弱い立場の方が、最も深刻な影響を受けています。そこを、注意深く手当しなくてはなりません」(北畠さん)

 この年末年始を乗り切れば、それで済む話ではない。

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「今回の緊急宿泊事業もそうですが、差し迫った状況に対する支援は、どうしても瞬間的なケアになりがちです。そこから先、全体的に『仕事がない』という状況の中で、どのように生活が成り立っていくのか。今は、「支援がなくなっても何とかなりそう」という明るい見通しをイメージしにくいですね。春、緊急事態宣言のときもそうでしたが、今回はさらに深刻です」(北畠さん)

 北畠さんは、就労自立をベースとする「自立」観に含まれた課題を読み取っている。

「生きていく上で必要なものを、福祉ではなく就労自立によって得ることを前提にする考え方は、好景気のときには問題なく成り立ちます。しかし現在のように、世界のどこにも好景気の地域がない状況では、『仕事がないから住まいもない』という脆弱性につながります。でも、住まいは絶対に必要です。この危機を、大きな意味での“セーフティネット”をつくる機会にしたいですね」(北畠さん)

 筆者も、全面的に同意する。

(フリーランス・ライター みわよしこ)