私はこれまで、「識学(しきがく)」という意識構造学を通して、多くの組織の問題を解決してきました。「識学」とは、組織内の誤解や錯覚がどのように発生し、どうすれば解決できるか、その方法を明らかにした学問です。
2020年10月時点で、約1900社の会社が識学を導入しています。また、2019年度に新規で上場した会社のうち7社が識学を導入しており、「いま、最も会社を成長させる組織論だ」と、口コミを中心に広がっています。
​本書『リーダーの仮面』は、そんな識学のメソッドを元に、「若手リーダー」に向けてマネジメントのノウハウを伝えます。本書の内容は、人の上に立つ立場の人であれば、誰しもが気づきを得られるものになっています。

リモートワークが炙り出した真実

2020年現在、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、リモートワークが普及し、リーダーとメンバーは強制的に距離をとることが増えました。

ムダな会議が減ったり、モチベーション管理をしなくなったり、飲み会が減ったりなど、さまざまなメリットが生まれました。

それにより、私たち識学の力も発揮されました。

「リーダーの仮面」の本質は、上司と部下が適度な距離を保ち、感情が生じないようにすることにあります。

つまり、リモートワークと識学のマネジメント法は相性がよいのです。

こうして世の中が変わり、風穴が開いたのだから、ダメな組織は一気に変わるチャンスです

リーダーが部下と距離を置くのは、「平等性」を保つためです。

「この組織は平等だ」という意識を全員が共有していることが大切です。

厳密な意味で「平等を保つ」というのはとても難しいことです。

ただ、私も前の会社でそうだったのですが、部下との距離が近いと、平等にしているつもりでも「なんか、あの人にえこひいきしているんじゃないか」といった印象を持たれやすくなります。

「距離感の近いリーダー」が必ず失敗するワケPhoto: Adobe Stock

隣の人には「イラッ」としてしまう

お互いの距離が近いと、ちょっとした差が大きなものに感じます。

たとえば、新幹線で隣り合わせた人に、間の「手すり」を使われると、イラッとするはずです。

1メートルしか離れていなかったら、10センチの差ですら「大きな差」に感じます。

100メートルも離れていれば、10センチの差は「誤差」になります

日本人は、南米大陸やアフリカ大陸の国際問題には無関心でも、韓国や中国など、隣国の問題には感情がむき出しになってしまいます。

会社でも同じです。だから、部下とはできるだけ距離をあけたほうがいいのです。