栄養,運動,トレーニング写真はイメージです Photo:PIXTA

筋肉は裏切らないと体をマッチョに鍛えることがはやっている。しかし思うように成果は上がらず、かといってトレーニングをハードにすると疲れがとれず、そのうちジムへ行くのも面倒に。迅速な疲労回復とパフォーマンス向上を助けるのは、的確な栄養補給だ。スーツの似合う引き締まった体を目指して、最新科学で栄養補給を行おう。(サイエンスライター 川口友万)

運動前にアボカドを
食べたほうがいい理由

 世の中の常識はいつも科学によって覆される。脂肪は太る、脂肪は悪、そんなことを言われたのも今は昔。アスリートにとって、今や脂肪は味方である。

 運動をすると筋肉中のグリコーゲンが消費され、グリコーゲンが枯渇すると筋肉疲労が始まる。グリコーゲンは糖質なので炭水化物や糖、インスリンの分泌を高めて筋肉へのグリコーゲンの補充を早めるにはタンパク質が必要だ。

『運動後の糖質・牛乳混合物の摂取がマウス骨格筋および肝臓におけるグリコーゲン回復に及ぼす影響』(稲井真ら・〈NPO〉日本スポーツ栄養学会)によれば、30分間の運動をさせたマウスに牛乳と糖質を混ぜたドリンクを与えたところ、糖質だけを与えた場合よりも筋肉中のグリコーゲン濃度が高くなった。疲労回復にはタンパク質と糖分なのだ。

 こうしてタンパク質と糖分が疲労回復や筋肉増加に必要と思われていたが、日清オイリオグループ株式会社・中央研究所が高齢者を対象に脂肪酸と筋力の関係を調べたところ、中鎖脂肪酸油を摂っていたグループは体重、握力、歩行速度などの向上が見られた。中鎖脂肪酸油にも筋量・筋力を増やす働きがあるらしい。