コロナ禍のEUで着実に進む「異常な財政ファイナンス」の副作用前代未聞の規模で行われる、ECBによる追加緩和。その「副作用」は想像以上に深刻だ(写真はイメージです) Photo:123RF

ロックダウン効果が徐々に出つつも
不透明感に覆われる欧州の現状

 日本は現在、新型コロナウイルス感染拡大の第3波に襲われているが、先んじてその波が生じた欧州では、10月終わりから11月初めにかけて続々と都市封鎖(ロックダウン)が実施された。春先ほどではないにせよ、強い行動制限を伴うものであり、人々のストレスが募っているという話は現地から良く聞こえてくる。

 ロックダウンの効果は着実に出ているようだ。感染の拡大が深刻であったフランスをはじめ、イタリアやスペイン、ドーバー海峡を隔てた英国の1日当たり感染者数は着実に減少している。他方でドイツや、緩やかな行動制限を指針としているスウェーデンの感染者数は、高止まりしている状況である。

 感染が落ち着いてきた国々は、年末に向けて行動制限を緩和する方針を示している。たとえばフランスのマクロン大統領は11月24日のテレビ演説で、10月30日から実施してきた行動制限を3段階に分けて緩和すると発表した。第一段階として、11月28日に人数を制限しながらも小売店や宗教施設が再開される運びとなった。

 第二段階としては、1日当たり感染者数が5000人程度に落ち着いていることなどを条件に、12月15日から外出制限を夜間に限定するとともに、長距離の国内移動を認める方針が示された。クリスマスイブである12月24日と大晦日である31日に限っては、一時的に夜間の外出も容認するという。

 1月20日頃を目安とする第三段階では、1日当たり感染者数が5000人を下回っていれば夜間の外出制限が解除され、飲食店の営業も再開される。とはいえ、これらのステップが順調に進むかどうかは、ひとえに感染の動向次第だ。感染の動向が落ち着かなければ、行動制限の緩和スケジュールも後ズレすることになる。

「劇薬」を飲んだ結果
景気は着実に悪化

 感染は確かに落ち着いたが、一方で欧州景気は「二番底」に陥ることになった。欧州連合(EU)の7~9月期の実質GDPは前期比11.6%と、厳しい行動制限のため歴史的なマイナス成長となった4~6月期(同11.4%減)から大幅に反発した。とはいえ、7~9月期の成長率は前年比では4.4%減と、コロナ前の水準を依然として下回っている。