興味を持った企業から
取引先を手繰って興味を広げる
動画を視聴しまくるといっても、何百社もある企業の中から、どう絞っていけばいいのでしょうか。気になる会社を見てしまったらそれ以上広げようがないかもしれません。
まずは、自分が興味のある企業、面白そうだと思っている企業の説明会を取りあえず5社視聴しましょう。
次に、その5社のお金の流れに注目します。企業は必ず、他の企業からものを買ったり、他の企業にものを売ったりしています。説明会の中で取引先に触れている箇所や、ホームページで「主な取引先」を見ると、次の2種類の取引先が見えてきます。
一つは、その企業がお金を払ってものを買っている(キャッシュアウト)企業。つまり、その企業になにかの商品やサービス、部材などを納入している企業です。もう一つは、その企業にお金を払っている(キャッシュイン)企業。つまり、その企業のサービスやものを買っている企業です。
あなたがコンピューターのハードウエア製造企業に興味があるとします。コンピューターを製造販売する電機メーカーの取引先を見ると、そのコンピューターの核である半導体を納品している企業があるはずです。もしかしたら、その電機メーカーのコンピューターの評判がいいのは、半導体が優れているためで、半導体メーカーこそ、あなたが行くべき企業かもしれません。あるいは半導体メーカーこそ、多くのメーカーに自社の製品を売って大きな影響力を持つ、優れた企業かもしれません。
完成品メーカーがいいと思っていたけれど、その製品を支えるテクノロジーを持っている企業の方が魅力的だったり、優良企業だったりということはよくあります。
そんなふうに、ある企業の取引先をキャッシュインとキャッシュアウトの観点で眺めて、最初に興味を持って見た5社からそれぞれ5社、その新たな5社からさらに5社と広げていくと、自分の興味を中心に、ねずみ算式にチェックするべき企業が広がり、あなたが知らなかった、もっとあなたに向いている企業や業界に巡り合う可能性が高まります。
皆さんの知らない企業で、魅力的な事業をしていたり、興味深い業界はいくらでもあるのです。取引先を芋づる式に見ていく方法は、隠れた優良企業を見つけるのに効果的な手段でもあります。知らない企業だから、聞いたことがない企業だからと敬遠していると、チャンスをみすみす逃すことになります。
やみくもに興味のない企業の説明会ばかりを視聴しても、あとが続きませんが、興味のある企業を中心に取引先をたどっていけば、もともとのあなたの興味に基づいて研究する企業を広げていくことになるので、さほど苦痛を感じることなく、たくさんの企業にアクセスできるでしょう。
また、ある企業にとって、どんな企業が顧客なのか、どんな企業を相手に取引をしているのかを見ることは、就活だけにとどまらず、入社してからも必ず役に立ちます。もしかしたら、入社してそうした企業と密接に付き合うことになるかもしれないからです。入社してから付き合う可能性のある相手を早くから知っておいて損はありません。
こうやって、年末までに、最低でも40社くらいの説明会を視聴することをお勧めします。つまらなくてつらいかもしれませんが、このステージ1をきちんとやって、もうけの仕組みを知っておかないと、就活のコマを進めることはできません。またここで、他人の話をアウトプットする前提で聞く耐性をつけておくと、これ以降の就活、ひいては社会人生活はぐっと楽になります。
皆に平等にチャンスが開かれているステージ1の情報で差はつきません。しかし、やらなかった人は確実に出遅れてしまいます。興味のある会社から、人に説明するつもりでまずは5社の説明会を聞き、取引先をたどることで、企業を増やして下さい。
(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局次長 福重敦士)