山口那津男公明党代表12月8日、首相官邸で記者団の質問に答える公明党代表の山口那津男。山口は高齢者の医療費引き上げを巡り、政府への批判を口にした Photo:JIJI

「菅に屈するか、公明に屈するかの状態だ。みんな板挟みになって困っている」(自民党幹部)――。

 菅義偉政権が発足して約3カ月。75歳以上の医療費窓口負担を2割へ引き上げる制度改革を巡り、首相の菅と公明党との間の意見の相違から自公関係が軋んでいる。その間で自民党執行部が仲介に立つという、これまでにない自公の構図が浮かび上がる。

 政府は団塊の世代が75歳に達し始める2022年を見据えて、社会保障費を抑えるため、前内閣で全世代型社会保障検討会議を立ち上げた。改革の柱の一つが、75歳以上の一定の所得のある人を対象に、医療費窓口負担を現行の1割から2割へ引き上げることにある。昨年末の中間報告で22年度までに実施することになった。

 ところがその所得基準の線引きをどこにするかを巡って、自公間で調整がつかずに迷走が始まった。まず問題提起したのが公明党代表の山口那津男だった。