誰もが抱えるヴァルネラビリティ(弱さ)が
思いやりの源泉

重松先生は、人は誰しも「ヴァルネラビリティ(弱さ)」を持っているといいます。

強く見える、恵まれた人も悩み苦しみ、中には自ら命を断つほど苦悩している。これを読んでいるあなたも「無力感」「はかなさ」「悲しみ」に押しつぶされそうになった経験があるかもしれませんね。

誰もが持つ「傷つきやすさ」は、他人の痛みを感じ、いたわる心でもあります。

拙著『スタンフォード式生き抜く力』で紹介した、新渡戸稲造の『武士道』の「慈愛」に基づくこの性質ゆえに、私たちはお互いを想い、共感し、愛と思いやりを持ち生きられるともいえるのです。

「人は不完全です。自分の中の、開かれた弱さ(ヴァルネラビリティ)を認め、『ありのままでいい』と思うことで、本来の自分で生きられます。これは心理学であり、禅なのです」

「自分を変えよう!」として変わることは難しい。

逆説的ですが、「変わらなくていい」と本気で思えた時に初めて「変われる」。この気持ちがわかるという方もいるのではないでしょうか。