漢方で防ぐ「体内の乾燥」、多くの人が気づきにくい不調のサインとは気めぐりが悪いときは、風がカラダの中に入ってくることを避けると不調の予防になる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

これから乾燥が深刻になる季節。特に、多くの人が気づきにくい「体内の乾燥」は、健康面の悪影響だけでなく、シワやたるみといった老け顔の原因にもなります。そんな体内の乾燥を防ぎ、うるおいを作り出してくれるのが漢方です。漢方というと、「苦い」「即効性がない」など漢方薬のイメージが強いかもしれませんが、実は日本の伝統医学。中国から伝わってきた後、日本人の気質、体質、風土の影響を受けながら独自に発展してきたため、日本人の体調・体質を調えるのに適している健康美容法と言えるのです。コロナ対策としても、押さえておいて損はありません。そこで今回は、薬剤師でうるおいコンシェルジュである大塚まひささんの著書『うるおい漢方』(青春出版社)から、体内のうるおい成分が不足したときのサインと原因について、漢方の考え方からひも解いていきます。

体に必要なうるおい成分「気・血・水」とは

 漢方の考えでは、人間のカラダには「五臓六腑」という生理機能があり、「気 ・血・水」(以下、「気血水」)という3つの要素で人はできています。気血水はいわば「うるおい成分」であり、これらがカラダの中にたっぷりとあって、しかも“めぐっている”ことが、健康で美しくいられる条件です。

 それぞれを簡単に紹介すると、まず「気」とは生命エネルギーです。エネルギーに満ちた暖かい空気のようなもので、全身にエネルギー、熱を届け、バリアのようにカラダを守っています。「血」とは、体内にある栄養のある水分のことです。全身に栄養を与え、全身にうるおいを与えるもので、思考の源でもあります。「水」とは、血以外の水分のことです。全身をうるおしています。陰陽、気血水、五臓六腑のいずれかでもバランスが乱れると病気になります。