近年、中学受験では「大学付属校」人気が高まり、激戦となっています。「早慶GMARCH」「関関同立」をはじめとする、人気の「付属中学」の合格を勝ち取るにはどうすればいいのか?
実は、付属校の入試問題は、「御三家」を頂点とする進学校のような難問があまり出ないので、大手塾で落ちこぼれたり、偏差値が20足りない子でも、付属校に“特化した”勉強をすれば、「逆転合格」できる可能性は高いのです。
早慶中学合格率80%、大学付属校合格率100%を誇る「早慶維新塾」塾長の野田英夫氏の話題の著書「中学受験 大学付属校 合格バイブル」の中から、付属校合格のために大事な視点を、一部抜粋してご紹介いたします。
本番直前の過去問の解き方はここが違う!
本番直前は、同じ過去問を解くにしても、さらに緻密に進める必要があります。「入試において合否を分けることは何か」ということを念頭に置いて、過去問を解いてほしいのです。
合格するためには、合格最低点以上の得点をしなければなりませんが、満点を取る必要はありません。満点に近い点数が要求される慶應中等部でも、合格最低点は85点ほどと推測されます。以下に公表されている各学校の合格最低点をおおよその割合に換算した数字を記します。このようにどんな学校でも7割を得点できればほぼ合格できます。
立教新座 53% 学習院女子 63% 成城学園 男子57% 女子62% 成蹊中学 男子58% 女子66% 中大附属 男子64% 女子64% 早稲田中学 1回69% 2回61% 早稲田実業 男子60% 女子66% 明大中野 66% 東邦大東邦 63% 青山学院 男子65% 女子68% 法政中学 72%
入試問題には、ほとんどの受験生が解けない問題が含まれています。このような難易度の高い問題をムキになって解いていると、時間が足りなくなります。そして時間を割いたあげく間違ってしまったのでは、いくら実力があっても合格点に届きません。
つまり大切なのは、難問に無駄な時間をかけないこと。難問に時間をかけて取る5点と、1題あたり3点の易しい問題をすばやくきちんと取ることを比べると、後者の戦略のほうが合格に近づくことができます。毎年受験を終えた生徒の問題用紙を見ていますが、合格した生徒でも、間違えている問題は必ずあるものです。
直前の過去問演習では、このような戦略的な時間配分ができるように意識することが大切です。
過去問をどこまで使い倒すかで勝負が決まる!
過去問演習はなるべく本番に近い形で取り組むのも大事です。
入試問題の実物は、説明会などで配布されることもありますし、学校によっては販売されていることもあります。実物を使うことができれば、計算に使えるスペースなどを事前に把握することもできます。また、四谷大塚の「中学入試過去問データベース」でも、実際の過去問を見ることができます。印刷もできるので、こちらを利用してもいいでしょう。ただ、全ての学校、全ての科目が掲載されているわけではないので、注意が必要です。
市販されている過去問の問題集を使う場合は、そのままでは解きにくいですから、できれば周りの線が出ないように本番の大きさにコピーをして使用してください。
過去問の基本的なやり方は本書で解説していますが、制限時間を決めて(ときには時間を短縮して)、演習をします。本番の入試と同じタイムテーブルでスタートできれば、ベストです。なるべく本番に近い環境でできるよう工夫をしてあげてください。終わったら、すぐにマルつけをします。間違えた問題は解き直しをします。しかし、解説を見てそれだけで満足していてはいけません。さらにしなければならないことがあります。
まず間違えた問題は、該当する箇所の授業ノートを見返します。本書で触れているように、しっかり授業を聞いて、「後で見たときに、先生の講義を思い出すことができる」よう、きっちりノートが取れていれば、過去問をやり直す際に「自分専用参考書」になります。
次にその単元の「類題」を解いてみます。これは一度解いたことがある問題でも構いません。
そして最後に、過去問のできたところも見直しておきます。「ここはできたからいい」のではなく、過去問という素材を使い倒します。
たとえば次のような早稲田実業国語(2018年)の「文中に入る最もふさわしい言葉を選ぶ」問題。
ア 見限る イ 見くびる ウ 見定める エ 見付かる
オ 見逃す
正解となる答え以外にも、他の選択肢がどのような意味を持っているか、わからなければ調べておきます。また、それらがどのようなときに使われるかも考えます。
過去問をどう使いこなすかは合否に直結します。細かなやり方は、「中学受験 大学付属校バイブル」の中で説明していますので、ご参考にしてください。