「○○Pay」と銘打った電子決済サービスが林立する中、日本のスマートフォン市場で圧倒的なシェアを誇るiPhoneのメーカー・アップルも、社名を冠した「Apple Pay」を提供している。
しかし同社の決済システムには、本国アメリカでサービス提供されていても、日本ではサービスが開始されていないものもある。それが、個人間送金を可能にする「Apple Pay Cash」とクレジットカードの「Apple Card」だ。
折しも新型コロナウイルスの影響でキャッシュレス決済への関心が高まっている「ウィズ・コロナ」の時代は、アップルにとって日本でのサービスを拡充する絶好の機会となっている。
本稿では、Apple Cardがクレジットカードの「黒船」とも目される理由と上陸時期について解説する。
Apple Payに秘められた
アップルの哲学とは?
初めに、Apple PayとQRコード決済の違いについて、簡単に説明しておきたい。
Apple PayがQRコード決済と大きく異なるのは、「セキュリティ」と「プライバシー」に対する考えかただ。そこには、Appleの哲学が反映されているのである。
まずはQRコード決済だが、ご存じの通り、多くのスマートフォンで利用できる手軽なキャッシュレス決済として、急成長を遂げた。ひも付けされた銀行口座、クレジットカード、コンビニでのチャージ、プリペイドカードと、決済の引き落としの選択肢の多さも魅力である。
QRコード決済は、その仕組み上、従来のクレジットカードのような、盗難や紛失、スキミング被害の危険はない。しかしその半面、とあるセキュリティ上の弱点を持つ。