歳出規模106兆円、過去最高を更新
5兆円予備費、社会保障費36兆円
2021年度の一般会計当初予算が閣議決定された。
新型コロナウイルスの感染拡大防止に加え、デジタル化など「中長期的な課題」にも対応するとしつつも歳出規模は106兆円を超え過去最大を更新した。
総額が膨らんだ背景には、高齢化に伴い医療や年金などの社会保障費が約36兆円に上ったことと、コロナ禍の「予期せぬ状況変化」に備えた予備費を5兆円積んだことがある。「構造的」な要因と「非常時」の要因の双方が反映された。
コロナ対応ではやむを得ないにしても財政出動を効果的に、持続可能にするためにも財政規律を維持することが不可欠だが、「規模ありき」の印象は否めず、一方で財政健全化の視点は脇に追いやられた格好だ。
国債依存度41%、
コロナで税収急減
歳出規模が膨らんだ一方で、歳入構造は一段と脆弱(ぜいじゃく)性が増した。
税収は、新型コロナの感染拡大の長期化に伴い57兆円程度とされ、このため、新規国債の発行額は43.6兆円程度となり、歳入の公債依存度は41%余りになる見込みである。