経済回復が見込まれる2021年
金融政策のかじ取りは難しさ増す
2020年12月に開催された日米欧の中央銀行による金融政策の会合は、新型コロナウイルスの感染再拡大と景気の下支えを続けるとして、金融緩和を強化しつつ継続する方針をそれぞれ決定した。
21年はコロナ禍からの経済の回復が本格化するという見通しが大半だが、日米欧中銀のこうした決定の主眼が、21年中の金融政策の正常化に対して市場が先走った期待を持つことを抑える思惑があったとすれば、その後の市場の反応を見る限り、各中央銀行の市場とのコミュニケーションに課題が残っていることを示唆している。
前年とは経済や金融の状況が変化していくと思われる21年は、「市場との対話」が一段と重要になることを中央銀行は意識する必要がある。
日米欧中銀、「緩和維持」表明したが
市場の受け止めはさまざま
20年秋以降、コロナ感染が再拡大し各国で外出規制などが強化されたなか、欧州中央銀行(ECB)は12月の理事会で、「パンデミック緊急資産買い入れプログラム(PEPP)」の買い入れ枠の強化(5000億ユーロ、9カ月延長)を決定した。
だがその一方で、ラガルド欧州中銀総裁は上限まで枠を使い切らない可能性に言及した。