航空・鉄道 最終シナリオ#4Photo:Diamond

ANAが希望退職者を募集し、外資系航空各社は日本でもリストララッシュ。大量の航空人材が労働市場に流れることになる。退職する者が気になるのは次の転職先だ。特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#4では、転職先事情と次なるキャリア形成のすべを転職経験者たちが授ける。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

JAL経営破綻から10年
航空業界に退職ラッシュがやって来る

 破綻した日本航空(JAL)が整理解雇予告をしてから丸10年を経た2020年12月9日。厚生労働省の記者会見席に、元JALのCA(客室乗務員)、内田妙子さんと、元JALパイロット、山口宏弥さんの姿があった。

 JALは10年1月に経営破綻した。早期退職募集などを行い、パイロット、CA、地上スタッフなど約1万6000人以上が会社を去った。さらに年の瀬の12月9日に整理解雇予告を通知し、大みそかをもってパイロットとCAの計165人を整理解雇した。

 内田さんと山口さんは整理解雇された後、会社と法廷闘争をし、今も闘いを続けている。会見では、「コロナ禍で厳しい経営が続くJALが全社一丸となってこの危機を乗り越えるため、労使関係の負の遺産といえる解雇問題の解決を」と訴えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした航空会社社員の退職者数は、JAL破綻時に迫るとも、勝るともいわれている。

 業界全体が大不況となり、早期退職募集、整理解雇、雇い止め、自主退職があちらこちらで起きている。「水面下で行われるものもあり、全体像が見えず不気味だ」と、ある労働組合幹部はため息をつく。

 航空会社社員が転職する際に参考となるのはやはり、破綻により会社を去った「ヤメJAL」たちのその後だろう。

 今後の航空人材の受け皿事情を明らかにし、さらにCA、整備士、総合職といったヤメJAL4人のその後について実録をお届けする。