航空・鉄道 最終シナリオ#18Photo:123RF

華やかな雰囲気漂う航空業界の裏で、パイロットやCA(客室乗務員)は悩み、不満を抱え、そして恋をする。「遊ぶならパイロット、結婚するなら整備士」と語る元CAも。その心は?特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の最終回では、番外編としてパイロットやCAが自らの生態を大いに語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

JALのCA「月給約10万円減」
超若手と入社10年目で手取り逆転現象も

――コロナ禍で仕事環境はどれほど変わっているのですか。

パイロットのAさん(ANA勤務、40代) 便数が減り、乗務時間が減少しました。2020年の年収は約30%下がる見込み(編集部注:取材は20年12月。以下同じ)。コロナ禍の状況を考えれば仕方のないこと。知識の獲得や体調管理の点からは、スケジュールに余裕ができて助かっています。

パイロットのBさん(JAL勤務、50代) フライトの機会は約2割減ったけれど、「ピンチをチャンスに変える」という気持ち。自己啓発の機会が増えるなど、意外と忙しいですよ。

CAのCさん(ANA勤務、40代) 乗務手当や出張手当が激減し、実質の手取りは20年11月時点で前年同期比50%程度。それでもお給料が一日も遅れずにもらえるのは幸せなこと。CAという肩書のおかげでさまざまな人が優遇してくれますし。

元CAで地上スタッフのDさん(外資系航空会社勤務、50代) 月の出社は3日ほど。旅客便は運休し、貨物便がわずかにある程度ですから仕方ありません。国の雇用調整助成金があるので、お給料は約7割保証されています。助成金の制度がなくなればどうなることやら。

 契約社員1年目だと月給は額面で21万円ぐらい。「7割保証とはいえ、食べていけない」と、若手は辞めていきました。年末にかけて日本支社の上層部も1割近く辞めました。

CAのEさん(JAL勤務の50代) コロナ禍の前は月80~90時間あった乗務時間が、昨年5月以降は月十数時間。ほぼ国内線乗務で、月に1本国際線が入ったらいい方。以前なら大阪泊まりや福岡泊まりがあったけれど、今は日帰りばかり。減便だからなのか、経費削減だからなのか。12月はシフトベースで30~40時間ぐらいに回復し、やっと戻ってきたと思っていたら、Go Toトラベルが一時停止になり、また減便必至です。

 乗務時間が減れば乗務手当も減少するので、どの年代も月給は10万円前後減りました。元々のお給料が低い若手ほど収入減は深刻です。同じ若手でも借り上げ寮に入れて住宅費を抑えられる入社数年目と、マンションなどで1人暮らしをして住宅費がかさむ入社10年目前後で「手取り逆転現象」が起きていたりするんですよ。