国際線で稼ぐ空港は、インバウンド需要の蒸発で苦境に立っている。そんな危機的局面下、空港民営化で運営権を獲得した勝者たちは、ある「しくじり」を認識することになった。特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#9では、全国84空港の「国際線依存度」をランキング。コロナ禍直前の2019年の依存度を独自査定した。(ダイヤモンド編集部 清水理裕、臼井真粧美)
空港民営化で稼ぎたかった
こんなはずではなかった
民営化空港の運営に参画した企業の幹部はすっかり覇気を失っていた。
「こんなはずではなかった――」
新型コロナウイルスの感染拡大により航空需要は激減、空港は閑古鳥が鳴いており、稼げない。それでも運営権を譲り受けた対価は支払い続けなくてはいけない。
ダイヤモンド編集部が集計した全国84空港の2019年における「国際線依存度」ランキングでは、20位までに民営化された空港が8空港入っている(次ページにランキング掲載)。
空港民営化には商社や不動産会社、鉄道会社などの大手企業が地元企業と共に参画してきた。さまざまなプレーヤーがインバウンド(訪日外国人)需要をどんどん取り込み、どんどん稼ごうともくろんだ。しかし今、国際線はほとんど飛んでいない。
まともに飛ぶようになるまでには年単位で待たなければならないかもしれない。経営体力の落ちた航空会社が路線をリストラすれば、コロナが終息しても元通りには飛ばないかもしれない。まさに想定外。しくじりである。
とりわけしくじりが大きかったのは、国際線依存度で5位の福岡空港、14位の新千歳空港を含む北海道7空港だ。