世界の航空会社でリストラの大嵐が吹き荒れる。国際線を飛ばすために日本を含む各国に拠点を置いて雇用してきた外資系各社は、日本でも人員削減の大リストラを断行している。特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#3では、リストララッシュの内情、労使間のガチンコバトルを追った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
中国で働き3年は広州暮らし
応じなければ解雇・雇い止め
「適切な職場に配置するために、中国本社への転籍をご案内致します」
中国南方航空の日本ベースに所属する日本人CA(客室乗務員)十余人(契約あるいは無期雇用)は2020年9月末、会社からEメールを受け取った。
中国南方航空は中国最大手の航空会社である。中国・広州に本社を構え、新型コロナウイルス感染拡大の前は多数の日本路線を飛ばしていた。
コロナ禍により運航便は激減した。日本ベースで働く日本人CAは2月ごろから自宅待機となり、月収の半分ほどの基本給だけが支払われた。
不安を抱きながら半年以上も待機してきたCAたちに届いたのが、冒頭のメールだった。
10月下旬、東京都内にある日本支社で説明会が開かれた。
会社はコロナ禍での運航便激減や経営難を訴え、「中国本社の客室乗務部で働ける場合は雇用契約を結ぶ」「中国で働けない場合は解雇か雇い止め」「2週間以内に判断を」などと説明した。
会社側の提案内容は厳しいものだったが、「外国人クルーの中で日本人を重視しており、転籍で勤務を続けてもらえたらというスタンスではあった」と出席した日本人CAの一人は言う。転籍すれば賃金制度が大きく変わるものの、年収ベースではほぼ変わらない設計だったという。
しかしながら中国で働く場合、2人で一部屋に住み、3年は広州暮らしといった条件。日本ベースに勤め、キャリアを築いていく人生設計をしていた彼女たちにはなかなかに受け入れ難いものだ。
結果、どうなったのか。