ANAホールディングス、日本航空、JR各社しかり、航空会社と鉄道会社が大赤字に陥って脱落者が出かねない状況にある。人口減少社会に向けて交通再編はどうあるべきか。『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#12では、再編シナリオを検証した。(ダイヤモンド編集部 松野友美、臼井真粧美)
JR東日本と西武HDが包括連携
資本提携や統合につながる?
それは「ポストコロナ」時代を見据えた業界再編への第一歩を予感させるものだった。
東日本旅客鉄道(JR東日本)、西武鉄道を中核とした西武ホールディングス(HD)の鉄道大手2社は2020年末、新しいライフスタイルを創造するワーケーションの推進や街づくりといった新規事業を軸に包括的連携をすることを明らかにした。
JR東日本は新幹線などの長距離路線網を持ち、西武HDはホテル・レジャー事業を幅広く手掛ける。互いを補完する強味を持っていた。
包括的連携であり、カネが動く資本提携ではない。
発表会見では、JR東日本の深澤祐二社長は「鉄道を含めて似た事業をやっているので、連携できるところはいろいろこれからお話しをさせていただきたい」と述べ、西武HDの後藤高志社長は「今日がスタート。両社で話し合いを続ける中でいろいろな付加価値が高まっていくと期待、確信している」と語り、既存の鉄道事業まで連携が及ぶ可能性を示唆した。
将来的に資本提携をするパートナー、もしかしたら経営統合にまでつながるかもしれない相手と、まずお試しでお付き合いを始めたと宣言したようにも映る。